ウィッシュルームから追い出される 一回休み

従業員にホテルのウワサをしつこく聞きすぎて215号室(ウィッシュルーム)を追い出されました。
ウソだろ!? 主人公って……そういうの許されるんじゃないの? ダメなの!?

ウィッシュルーム、殺人事件が起こっているわけでもないし、ホテルに閉じ込められてもいないし、大体において緊急事態じゃないものだから、何かやらかしたら容赦なく宿から追い出されてゲームオーバーになります。
事務所を漁っていたところを見つかったときの「そのバールは何だ」でもう駄目だった。思いっきり笑ってしまった。

なかなか硬派で気真面目なゲームなんですが、それだけにゲームオーバーが面白くって仕方ありません。
主人公のカイル・ハイドさんが言い訳一つせずホテルを去っていく背中がまた哀愁を誘います。


ウィッシュルーム、日常と地続きのゆったりしたテンションが非常に魅力的でいいですね!

あまりに追い出されまくったせいで、ダニングさんを見るとビクッとするというか、修学旅行の夜に先生がやってきたような気持ちになります。
ボーリングで植木鉢を割ったときはホンキでもう駄目だと思った。死んだと思った。
とっても面白かったです。
カイルさんがねー! 主人公とは思えない人当たりの悪さで、操作していて非常に楽しいキャラでした。
不愛想で全体的に不器用なんですが、どうあがいても好感度の上がりそうな選択肢がないかと思えば、たまに受けごたえがスマートだったり、それでもお子さんやご老人にはほんのちょっと優しかったり、こういうキャラがいつのまにか仲良くなってるのがたまりません。
不思議な少女ミラちゃんに過度な同情も干渉もしないし、なんか下心を感じなくて良いなあ。
カイルさんが飲み食いしているときの表情がほんとに幸せに満ちている。


キャラクターがまた個性的で、「なんか一癖ありそう」みたいなホテルのみなさんに抱く第一印象はあながち間違っていないと思うんですが、物語が進むにつれてまた別の面が見えてくるのが面白いです。
メリッサちゃんはやっぱり可愛いし、ローザさんはなんだかんだ甘いし、開き直ったサマー先生が割とうっとおしいのが完全に誤算でじわじわ染みてくる。
なによりルイスさんのギャップがすごかった。厄介なチンピラかと思ったら途中から茶目っ気が見えてきて、さいごには頼もしく思えてくるのがほんとになあ。意外と人を見る目があったり、世話焼きだったり、とにかく、社交的とは言い難いカイルさんがみんなとなんとなく仲良くなるのが素晴らしく感慨深いです。

追及パートで相手の話を聞きだすのに、しっかりした証拠なしに態度と常識を勘案して「そんな悪い奴でもないだろ」みたいな希望的観測を使いながらプレイヤーの私情がほんわか混じるのがすごく好きです。
主人公のカイルさんもまた、しっかり良いセリフはいてくれるし、まあうっかり対応を間違うと自己嫌悪に陥って部屋から出てこなくなったりしますが、ご愛敬ですね。

いつのまにか、ホテルの客をじわじわコッチ側(探索側)に巻き込んでいくのが痛快で痛快でたまりません。
たった1泊なのに、クリアしたらNPCみんなが晴れやかな顔になっているような不思議なゲームでした。

ちょっとDSの縦持ちがきつかったり、いちいちホテルの廊下をドアを開けたり閉めたりするのがめんどくさかったり、タッチペンでダンボールをぽんぽことリズミカルに叩きながら「何やってるんだろう自分……」と我に返って哲学してたような部分もありましたが、全般的に面白かったです。

逆にこのもたもたした感じが妙に癖になるというか、ミラちゃんと筆談して手帳をやりとりするときにいちいちタッチさせられるのが、コミュニケーションの時間差を感じてよかったなあ。
立ち絵がくるくる変わって珍しい表情を見せるときや、2画面の左右を使って、2人同時にセリフを発するシーンなんか、静かながらとても迫力がありました。

このゲームの甘さ控えめでビターだけどグロ方面に走らないバランスが非常に好みで、心が必要とする消費カロリーを気にせずに安定して遊べるアドベンチャーでした。

いやー、重い話は嫌いじゃないんですが、消化するのにまたエネルギー使うってことがあるから……。
その分、えぐるように心に残ったりするんですけどね!
ウィッシュルームは、難しいアクションを要求されるわけでもなく、晴れの日も曇りの日も安心してプレイできるゲームでした。

雰囲気が似てるなあと思ってたら『アナザーコード 〜二つの記憶〜』と同じチームが開発したゲームらしくて、アナザーコードも面白かった。

不思議と素朴な味わいのあるゲームでした。
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