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第一話 出会いは突然に(完)

PT画面を開いたら、覚えのない加納さんがパーティーに居た。

え?え?いやいやいや、誰?誰?
本当に覚えがないのですけれど、操作を誤ったかして、紛れ込んだのかな。
ええと、今私がプレイしております、このルナティックドーンというゲームはたいへん自由度の高いゲームでして、その自由度たるや国からの依頼で逮捕した犯罪者の引き渡し期限が過ぎるともれなくPTにそのまま居つくというステキ仕様なもので

え、ちょっと待って、ホントに待って、誰?
慌てて加納さんのステータス画面を確認すると、どう見ても、出で立ちが黒装束。

ええっと……
お忍びの方……ですか?

いや、ここは。落ち着いて、まずはコミュニケーションだ。
幸いなるかな、ルナティックドーンには「雑談」というコマンドがございます。
これでコンタクトを試みましょう。
とりあえず、軽いジャブとして加納さんに話しかけてみることに。

「拙者、お主なしには生きていけないでござるよ!(意訳)」

あ。
どうしよう、もう、凄い知り合いどころではないっぽい。
なんか「すいません、あなた誰ですか?」とかいまさらなことは聞けない雰囲気。
これはまずい。
ルナティックドーン、一歩歩けば一日経過、八日歩いて都市から都市へ移動、みたいな感じですので、気が付くと結構すぐに魂の友に。ほんとうにどうしよう。名前についてはステータス画面でわかったけれど、それ以上の情報がない。というか、誕生日とか、出身地とかはステータス画面でわかるのに、加納さんという人がわからない。

でも、みんな合わせてもPT人数が丁度5人だったので、
加納さん、続投。

あらためてPT画面を見ていると、たしかに一人多い。
なんかね、すみっこに、居た。
オート戦闘だからぜんぜん気が付かなかった。

そして加納さん、パラそれほどでもないのに、
それなりに、強い。

なに?なにこのNINJA?
すっごいしぶとい。

そんなこんなで加納さんと一緒の旅。

道中で旅の魔術師に話しかけたら、一対一での力試しを持ちかけられまして、なんだこれ、ああもう、だってほら。ぶっちゃけ初心者もいいところなんですよ。さっき始めたばっかりなんです。ルナドン。 いいだろう、魔術だったら負けないぞ。

ああ、間違いでした。
決着がつくわけないんですよ。間違った。 リブロー持ってる兵士に魔法使いがファイアー使うようなもんです。
まさかの双方MP切れの殴り合いに発展いたしまして、あえなく主人公は敗北。

腹いせに仕方なくPT総員で殴りかかったところ、あえなくボコられる羽目に。

しかし、加納さんだけは立っていた。
ダメージ17とかくらいなのに、地味にため込んだとみえる薬をちまちま使って、なんか、勝ってた。

なに!?なにこの加納さん!?

いやしかし、操作キャラはあくまで主人公。
加納さんだけが生き残ったところで何の意味もない。

「お主を死なせはしないでござるよ!(意訳)」
あれ?
加納さん?

……。
なんと、加納さんが自腹で復活させてくれました。

か、加納さあああああああああん!?
加納さん、いいのかそれで。

加納さんと一緒に、仲間を失った傷心を癒すために偶然にも指名手配の期限が切れるころあいまで宿屋で休んでいたところ、
「拙者、お主の居ない人生なんて考えられないでござるよ!(意訳)」

まさかの。
プロポーズ。

加納さん……。
あなたの人生、それでいいのか。

あの、
いいなら、その、加納姓、名乗っちゃおうかな。



というわけで、ルナティックドーン、現在、謎のニンジャ、加納さんと一緒でございます。
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