司祭長にも優しい宗教を建設しては?


ああー、無知蒙昧な村人たちよ。
彼らは賢く、思ったより傲慢不遜で、易々と神の意向に背くのであります……。

The Shrouded Isle。

終末カルトシミュレーションと聞いて、やりたくならないわけがないじゃないですか。
ちょうど一割引きでしたし、なによりも日本語に対応していると聞いて、一も二もなく買ってみることにしました。

当初はてっきりシム・ダゴン教団みたいなものを想像していたんですけれど、コツコツとインフレを起こして経営を軌道に乗せるというよりは、三年間、いかに信仰が破綻しないようにやりくりするかというところに気を配るゲームだと思います。

もうー、村人たちは賢明です。
ほんとに、油断するとすーぐ裏切り者に感化されて後悔を忘れて悔い改めなくなったり、紛れていた無知を失って信じることをやめたり、情熱を失って集会をさぼりだすんだから……。
シミュレーションゲームで村人が愚かな行動をとることに嘆くことはなんどもあったけど、村人が賢すぎて歯噛みするゲームははじめてかもしれない。

せっかく正しく処刑に値すべき罪人を見つけ出しても、悪徳がはびこればそこでおしまい。信仰は失われて世界のグッドエンド、すなわちゲームオーバーです。

司祭長って言ってもですね、そんなに面……悪いことができるというわけではなくて、わりと真面目に業務をこなすだけでいっぱいいっぱい。
司祭長特権は、せいぜい、「自分が処刑台に立つ順番が分かる」ということくらいでしょうね!
それと、誰かにびくびくして、こびへつらわなくても良いことか。
いや、でも、村の有力五家のご機嫌取りは欠かせません。誰かの機嫌を損ないすぎたら、THE・END。
いくら重大な罪を犯した者がほかに見えていても、なるべく連続で同じ家の人間を処刑しないようには気を配るでしょう。
そのためならそう……。誰か、中途半端な罪を犯したものを指名して、わざと、処刑の順番をあとにしたりだとか……。そういう政治的配慮も、ねえ?

ところで、処刑に値する罪が何かって言うと……。
えっと、”嘘つき”、”横領者”。それから、”臆病者”。
あとはほらー、都合の悪いことを研究している”学者”とかね? だめだよね?
おっと、間違っちゃいけません。村の情熱を鼓舞する”放火魔”は重大な徳です。はっはー。

村人たちが毎回、どんな人物かはランダムなのですが、ランダムの配置が織りなすドラマが面白い。

知りたがりの父から生まれた、学者の息子。
優美な声を響かせる盗癖者。
演技担ぎの臆病者。

さらにこれらに、「あまり重大な罪というわけではない父親を処刑した次の季で、学者の息子に”無知”パラメータを挽回できないところまでしてやられる」なんてドラマが生まれるものですから、偶然がもたらした彼らの背景に目を配るだけでもとても楽しいです。

ただ、いくら配役がランダムとはいっても、4季3年の12ターンのゲームではあるので、そこまで延々と遊んでいられるゲームというわけでもないとも思いますけれどもね!

***

幾度となく失敗を重ね、ようやくたどり着いた三年目の冬。
重大な悪徳を持つ者はあらかた粛清を終え、神は軽微な罪を犯した者を所望するようになりました。
すなわち、だれでもです。
多かれ少なかれ、罪を犯さないものなどいないのですから……。

最後に我が神が望んだのは、私の”良き友”の犠牲でありました。
彼はちょっとした”浮気者”ではありましたが、何度となく私の片腕としてよく働いてくれた男です。
不思議と寂しくはありませんでした。
いや、むしろ、彼を最後まで私のそばに置いてくれたことこそ、神の思し召しといえましょう……。
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